効率的な海洋モニタリングのための自動化技術 - 2種類のロボット; Argoフロートとグライダー

海洋モニタリングにおいて、自動化技術が近年ますます重要性を増しています。氷海においても、プロファイリングフロートやグライダーなどの自律型計測機器が使用され、その効率的かつ費用対効果の高い海洋観測能力が実証されています。

プロファイリングフロート(Argoフロート)は、海流に漂流しながら定期的に設定された深度まで沈み、水温、塩分、その他の水塊特性の計測を行います。これらのデータは衛星を通じてリアルタイムで研究者に送信され、海洋の物理・化学的特性をモニタリングすることができます。


一方、グライダーはプログラムされた特定の経路を潜航しながら移動・観測する、自律型の水中ロボットです。浮力の変化を利用して水中を上下に移動しながら、固定翼を使って方向を調節し、水温、塩分、その他の特性のデータを収集します。プロファイリングフロート同様、グライダーもリアルタイムで研究者にデータを送信します。

IPCC SROCC (2019)


氷海においては、自律型計測機器の使用が特に有効です。氷海の過酷な環境と港から離れた場所であることから、従来の船舶観測でのデータ収集は困難でコストがかかります。特に冬の南極海は、砕氷船でも到達することがほぼ不可能です。自律型計測機器は、氷海でも数ヶ月以上の長期間にわたって動作することができるため、広範囲にわたる海洋の連続的なモニタリングが可能です。

氷海における自律型測器の大きな利点の一つは、従来の船による測定が困難な領域で、海洋構造に関する詳細な情報を取得できる点です(例えば、棚氷の下など)。